同一労働同一賃金に関連した5つの判決が10月に相次いで出ました。中小企業にとって、どのような対応が必要か考察します。
1.判決内容
2.諸手当・休暇
短時間・有期雇用労働者とすべての通常の労働者との間で、個々の待遇の趣旨に基づき、次のような不合理な待遇差を設けてはいけません。
(1)均衡待遇:職務の内容(業務内容と責任の程度)、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情を考慮して不合理な待遇差を禁止
(2)均等待遇:職務内容、職務内容・配置の変更範囲が同じならば差別的取り扱いを禁止
均衡待遇を要する場合、当事者が交渉で格差を決定しますが、長期的に働く見込みがあり、職務内容や配置の変更の範囲の具体的な差異をもって格差の程度を説明できるようにしなければなりません。
3.賞与・退職金
契約社員が契約更新により長期雇用が想定され、正社員と職務内容が異ならなければ不合理性ありと判断されることもあるとしつつ、大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件では、契約社員に対する賞与や退職金不支給をやむなしとしました。
賞与や退職金は使用者の裁量判断を尊重する余地は比較的大きいとしながらも、いずれの事件も各待遇の性質や目的と契約社員の状況をもって判断しました。賞与や退職金の目的には正社員を長期的に確保・活用することが含まれ、(1)経験や能力で正社員の基本給が上がる、(2)人事異動を通した正社員の人材育成、(3)実績のある正社員登用制度を行い、正社員を育成していたことが不支給容認のポイントとなったことは、これからの対応を考えるにあたり有用な点になると考えます。
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