近年、人手不足を効率的に補いたい事業主と、自分の都合に合わせて稼ぎたい労働者のニーズが合致し、短時間・単発雇用の「スポットワーク」利用が急増しています。しかし、それに伴い、労務管理上のトラブル防止が重要となっています。厚生労働省は、スポットワーク仲介アプリを介して事業主と労働者が直接労働契約を結ぶ際の留意点をまとめました。
1.労働契約締結時における注意点
スポットワークの労働契約は、事業主とスポットワーカーが直接締結するため、労働基準法などの遵守義務は事業主にあります。契約成立の時点から法令が適用されるため、いつ契約が成立したかを双方で明確に認識することが大切です。アプリで先着順にマッチングされる場合、応募時点で労働契約が成立するケースが一般的です。採用が決定すれば、事業主は労働条件を明示する義務があります。仲介事業者が交付を代行する場合、事業主は契約内容が適切であるかを確認しなければなりません。
なお、事業主による労働契約成立後の解約(いわゆる「キャンセル」)は、契約形態を「応募完了による解約権留保付労働契約」を原則とするため、下記のやむを得ない合理的な理由を除き、契約期間中の解約はできません。解約ができない場合は、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いもしくはその日に約した賃金の全額の支払いが必要です。

2.休業させる場合の注意点
事業主の都合による休業や早上がりをさせる場合、前述の解約と同様、労基法第26条に基づき休業手当(平均賃金の60%以上)の支払い、もしくはその日に約した賃金の全額の支払いが求められます。
3.賃金・労働時間に関する注意点
労働時間については、着替え・掃除・待機など業務に必要な準備行為等の時間も労働時間に含みます。また、賃金の一方的な減額や別途支給とうたっていた交通費未払いは労基法違反となります。
4.その他の注意点
労災防止対策やハラスメント対策も事業主の義務です。労働安全衛生法や労働施策総合推進法に基づき、教育や相談体制の構築、防止措置を講じる必要があります。
また、スポットワークであっても、通勤や業務中のケガは労災保険給付の対象となります。
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