約2000億円の企業年金資産を消失したAIJ問題ですが、84の企業年金が運用を委託しており、その約9割が業種や地域等を同じくする中小企業が集まった「総合型」の厚生年金基金だったそうです。結局、これらの損失の穴埋めは誰が負担するのでしょうか?!
1.厚生年金基金制度とは
年金制度は3階建てといわれています。1階は基礎年金、2階は厚生年金、3階は企業年金(企業による退職金制度の年金給付化)になります。企業年金には次の2種類が存在します。
| 確定拠出年金 |
企業の拠出する掛金を従業員が運用し実績によって受給額が決まる |
| 確定給付年金 |
企業が外部に掛金を積立てる。もし運用が悪化し予め約束した給付額が「積立て不足」の場合は、企業が不足額を補填する |
上記の確定給付年金はさらに2種類に分類されます。
| 厚生年金基金 |
厚生年金保険料の一部を国に変わって運用する「代行部分」と独自の「上乗せ部分」を一体で運用する |
| 確定給付企業年金 |
厚生年金基金の「代行部分」がなく独自の「上乗せ部分」のみで運用する |
2.「積み立て不足」解消方法
「積み立て不足」を解消するには前述したとおり、掛金を拠出した企業がその額を補填しなくてはなりません。企業が補填できなければ以下の手段をとらざるを得なくなります。
(1) 労働組合の同意を得て、現役社員の保険料引き上げ、もしくは将来の給付額を減額
(2) OBの3分の2以上の同意を得て、年金受給者の給付減額
ただし、給付額の減額については「代行部分」の減額は認められていません。大企業はこの「代行部分」を返上して独自の「上乗せ部分」の利回りを引下げ身軽になる事ができましたが、「総合型」基金に属する中小企業は厳しい経営状態の中で、代行部分の穴埋めもできず、利回りもバブル期の5.5%を継続しており、保証利回りの引下げも難しくなっています。
このままでは連鎖倒産など発生しかねない状況ですが、公的救済の導入は公平性が損なわれるという見方もあり、基金制度のあり方も含めて今後の政府の対応が期待されるところです。
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